532人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「――蓮しっかりして!」
美咲の言葉で我に返る。乱れた呼吸、刀を握る手には大量の汗。
――二人は!?
振り向いた先には異様な光景が。
二発目の【ブラック・レイン】
スキンヘッドに降り注いだ短剣が刺さる瞬間、身体が黒い霧のように変化し、短剣は無抵抗で身体をすり抜けた。
ポケットに手を入れたまま上を見上げているパーカー男の頭上には、直径1m程の炎の楯が出現。
何本もの短剣が楯に刺さりその攻撃を防いでいた。
二人ともノーダメージ!?
「アンタ、すぐに【命懸け】使うクセやめなさいよ」
美咲が小声で囁(ささや)く。
体勢を立て直した二人は怒りの形相でこちらを睨んでいる。
スキンヘッドの男が小刻みに身体を震わせながら手にしているサーベルをこちらに向けた。
『お前ら、ふざけんじゃねーぞ! レアアイテムだぁ? 騙し撃ちに、女相手に二人掛かり? 上等だよ』
……。
事実だけを並べたらこの男の言っていることに間違いはない。
状況説明だけならこっちが完全に悪役か。
無言の美咲は警戒しつつPDAを取り出し、鞭使いのPDAを救出。さらにオレに【エル・ホワイト】を掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!