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「蓮、私がこのハゲ引きつけるからさっさとあのチビ倒しちゃいなさい!」
戦闘中でも口悪いな……
しかし物理攻撃の効かない相手と美咲を一対一にさせるわけにはいかない。刀を両手に持ち替え攻撃に備える。
『余所見しないほうがいいよ』
いつの間にかパーカー男は背後に接近していた。
体勢を変えようと身体を捻りかけた瞬間、脇腹にミシミシとした衝撃と鈍い痛みが走る。
――熱っ!!
火の玉が脇腹にめり込んだんだ。その衝撃で二、三歩後退したところで火の玉は消えた。
再び上方から熱気が襲う。
炎の連続攻撃を回避しているうちに美咲とどんどん離れていく。
かろうじて視界に捉えた美咲は、レイピアで何度も斬りつけていた。しかし相手の体は黒い霧に変化するだけ。
余裕からか奴は白い得物を避けようともしない。
このままでは時間の問題だ。一刻も早くコイツを片づけるしかない。
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