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彼女が目覚めて二日後、陸という医師がいるということもあって退院が早々に決まり、手続き等を済ませた後のこと。
これまで避けているようだった皆川の所へ、蒼依が向かった。
拘留ルームSクラス。
監視システムと警備を強化された、トップ犯罪者の拘留場所。
24時間体制で2名の監視がつき、まさに脱出不可能な場所。
「隊長!橋本主任!お疲れさまです!」
「お疲れ。皆川は?」
「変わりありません。」
報告通り、部屋の片隅で、背中を丸めて座っている皆川。
ただ一点を見つめ、動かない。
モニタールームから直に見ると、その生気も感じられず、鳥肌が立ってくる。
「…ずっとそうしてるのか?」
「はい。何を考えてるのか不安になるくらいに静かです。」
「…そうか。」
「…蒼依。」
「なんだ?」
「お前は気に障ると思うが、俺は皆川が今、何を考えているのか分かるぞ。」
あの日、俺が皆川を連れて取調室に入った後、彼女が死にかけていることを知った。
その2日後に会いに行き、手術は成功したが、意識不明だと、それだけ伝えた後、彼女の状況を伝えていなかった。
「……フン。…なるほどな。」
「俺が行った方がいいと思うけど?」
「…行ってこい。」
「らじゃーーーー♪」
直ぐに皆川のところに向かった。
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