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ーside蒼依ー
誰が予想できただろうか?
こんなに素直な表情を浮かべる皆川を。
こんなに素直な言葉を発する皆川を。
もう既に改心してるんじゃないかと思わせるほどの態度。
それもすべて、彼女が起こした奇跡だろう。
どんな説得をしたのか分からないが、彼女の経歴や実際見てきた方法から推察すれば、その心に訴えかける説得をしたんだろう。
思い出す堀田の尋問。
その凄さに、思わず身震いしたほど。
頑なだった皆川は、彼女と一緒の時間を過ごしたことで、劇的な変化を生んでいた。
倉原龍一曰く、"いい子""純粋""素直"だと。
それを信じて行動した彼女の勝ちだ。
それから自室に戻ると、ベッドの上で横になる。
PSPのことも考えなければ。
隊長業務も残っている。
雑務処理と、報告書。
それから…
(…心のことだ…)
皆川を逮捕して、彼女が目を覚まして。
ここに戻ったときにまず考えたのが彼女の今と将来の気持ち。
案外答えは容易く見つかった。
未姫が勇気をくれたと。そう言った瞬間から感じることが一つ。
言葉とは裏腹に、どこか迷いのある目をしている。
決意したのなら、彼女は皆川の心を救うという、倉原龍一との約束を守ることだろう。
例え、どんな"困難"が起きようとも。
「……ハァ……あのバカ……」
心配が本当になってないように祈りつつ、仕事を済ませ、休みについた。
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