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翌日。
午後から長官代行で会合出席のため、朝から彼女に会いに行った。
俺に気付くことなく外を眺めていた彼女。
その姿を、ドアの近くで眺めてた。
そこに、看護師が現れて、慌てて人差し指を口に添えた。
看護師は笑いながら頷くと、彼女に近付いた。
「大崎さーーん。」
「…んーーー?」
「どうしたの?ボーッとして。血圧測りますね。」
「…んーーー…」
その間も、ずっと外を眺めている。
「大崎さーーん。」
「…んーーー?」
「終わりましたーー。」
「…んーーー…」
「大崎さーーん。」
「…んーーー?」
「旦那さん、来られてますよーー。」
「…んーーー…」
「…と。昨日の夜からこんな状態なので。」
「そうですか。すみません。お世話になってます。」
「いえいえ。ではこれで。ごゆっくり。」
それだけ言葉を交わすと、出ていった看護師。
椅子をベッド脇に寄せると、そこに座り、頬杖つきながらボーッとしてる彼女を眺める。
(…予感的中…)
半ば呆れて物も言えないほど。
でも、彼女が悩んでいることは、俺を思ってのことだから、結局怒れない自分がいる。
何度言っても治らない。
"自分を犠牲に"するやり方。
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