5303人が本棚に入れています
本棚に追加
/1117ページ
ーside蒼依ー
あんなに泣いた跡があったのに、ここに戻ると直ぐに警察の顔になった彼女。
自室に行かず、真っ直ぐ向かった先は皆川の元。
"約束"を常に重視してきた彼女にとって、当たり前の行動だった。
皆川が大人しくしているのは、きっと彼女のためだということは分かってる。
彼女の説得の賜物。…そして、彼女に対して抱く感情。それだけだ。
いつも通りの表情で、皆川の元に行った。
『食事、取ってないんだって?ダメじゃん。心配かけちゃ!』
モニタールームから、その様子を成と見守った。
皆川は安堵の表情を浮かべて、彼女を見上げていた。
『約束破ってすみません…私、結構ヤバかったみたいで…
三途の川渡る手前まで行ってきちゃいました!アハハハ!』
『…ッッ!?』
「…おい。見たか?今の…」
「…見た…すんげー動揺したぞ。レアもんだ。」
目を真ん丸にして。ちょっと抜けた感じ。
『…もう、大丈夫なんですか?』
『大丈夫!大丈夫!たっくさん血ぃ分けてもらったし、傷口も縫っといたから!』
「…ブハッ!!!」
耐えきれなくなった成はスルー。
すると皆川が右に首を傾げ、それを不思議に思ったのか、彼女が同じ方向に首を傾げた。
『…どうしたんですか?』
『………そういうキャラ?』
『え?どんなキャラ?』
『………こんなキャラ。』
『は?』
「…し……死ぬ……!!ハハハ……」
「…バカめ皆川!心はもっと強烈だ!」
笑死寸前の成は放っておいて。
最初のコメントを投稿しよう!