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『ホントは今日からやりたいんだけどさ。さっき帰ってきたばっかりなの。明日からゆっくりやろうよ。』
『分かりました。』
そして、クロスをスキャンさせると、そのドアを開けた。…そして。
『皆川さん。…信じるか信じないかはあなた次第なんだけどさ。』
『………はい?』
『父に会ってきた。』
彼女がそう言うと、皆川の表情が直ぐに固まり、険しくなった。
『あなたに"すまなかった"と伝えてくれってお願いされちゃった。…ちゃんと伝えたよ。』
それだけ告げると、直ぐに室から出た。
その様子を見ると、だんだんと怒りの表情に変化していく。
「…蒼依?どうかしたか?」
「…いや…ちょっと。」
「…え。…おい!」
「黙れ。心にバレるだろ。」
俺は、モニタールームのマイクをオンにすると、直ぐに壁際に背を向けて、皆川のいるマジックミラーを正面に見据えた。
同時に彼女がモニタールームに入ってきた。
「お帰り。心。」
「ただいまーー。ハァーー……」
「なんだ?溜め息ついて。緊張したのか?」
「ううん。怒ってなかったからホッとしただけ!」
「そうか。良かったじゃん。」
「うん!…なんか"大丈夫?"とか心配されたし。"こんなキャラ?"とか意味不発言あったけど!
…あいつこそ変キャラ?アハハハ!」
「「……………」」
(我慢しろよ!成!)
(…う……うす……)
マジックミラーの向こう側、皆川は頭をデスクに打ち付けた様子。
また、レアな皆川を目にしていた。
ちゃんとこちら側の声は届いてる。
それを確認し、"言わせる"ための誘導尋問。
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