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村を失うことから始まって、今の今まで散々苦しめられた皆川に、ここまで向き合おうとしている彼女の決意は固い。
それがどれだけのものか、皆川に伝わっただろうか?
それが、倉原龍一の意思だと理解できただろうか?
プルルルル
タイミングのいいところで、内線が鳴った。
「はい。モニター。」
『あ、俺。心はいる?』
「はーい。いるぞーー。」
『心。消毒時間だ。お前の部屋にいるから、早くおいで。』
「あ、忘れてた。直ぐ行く。
じゃ、ちょっと行ってくる。そこの二人!皆川の監視、宜しくね。」
「「はっ。」」
そう言って、モニタールームを出ていった。
俺と成は皆川を見ると、強く頷いた。
さっきの険しくなった表情とは違い、少し穏やかになっていた。
「…と、まぁ、これが今の心の本音だ。
心の言葉を借りるなら、信じるか信じないかはお前次第だ皆川。
…明日は9時半からの開始予定。それまで」
『大崎隊長…』
「……なんだ?」
『…感謝します。…ありがとうございます…』
「……ああ。…ゆっくり休んでろ。」
これが吉と出るか凶と出るか。
誰にも何も分からない。
マイクを切ると、俺たちもモニタールームを出、9階へと向かった。
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