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「いいね。皆川さん。結局、心が相手だと素直になれるってことだろ?あいつも分かってたから自分で調書取るって言ったんだ。」
「そういうことだな。…面白くはないけど。」
「ヤキモチかよ?蒼依。」
「…ンにゃぁあああ!!!」
雑談をしながら9階に着くと、廊下中に響く猫の雄叫び。
「ハハッ!スゲー顔。」
「陸!もっと優しくして!い…痛い!」
「……なんだそれ。俺が襲ってるみたいに聞こえるぞ。」
「え?…ちょっと楽しい…
陸…優しく…お願い。もっと優しく。」
「お前なぁーー!黙れ!」
「痛いって…もっと優し…ぐ!!にゃあ!!」
「…はい。終わり。」
からかいながら消毒をされていた彼女は、陸の制裁を加えられて涙目になっていた。
それをクスクス笑いながら見守る。
そして服を整えた彼女に話し掛けた。
「…心サン?終わった?」
俺の声を聞くと、少し固まって。
それから直ぐにドアに向かってダッシュ。逃げられる前に、抱き上げて捕獲する。
「ハイハイ。逃げても問題は解決しない。ちゃんと話し合おうな。」
「いやーー!いやーー!」
「何?心、逃げてんの?」
「そう。困ったちゃん。…まぁ、その前に聞きたいことがあるんだ。」
捕獲した猫を持ち上げると、ゆっくりソファの上に座らせ、俺は床に膝をつきながら、手で猫を囲った。
自然と同じ位置で視線が合うように。
「心。まず聞いておかなきゃならないことがあるんだ。
…奇襲時の単独行動。…と言うより襲撃プラン。あれはいつ思い付いた?」
「…え?」
「俺たちはお前の思考を読みきれなかった。その結果がこれだ。…守りきれず申し訳ございませんでした。」
「「…申し訳ございませんでした。」」
「やだ!頭を上げてよ!謝らないで!」
「…教えてくれ。いつなんだ?」
頭を下げて謝罪したあと彼女を見据えると、彼女はゆっくりと語りだした。
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