終焉。 そして……

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「…皆川が、私の弱点を突いてくることは奇襲前から予想してた。 蒼依、陸、成、隊員、パパ、花音、警察関係者、果ては総理や大統領までアンテナを伸ばして考えてたのよ。 そこで皆川が出してきたのは、当たり前のように蒼依と2主任。 …その切り札が未姫だった。」 「「「未姫!?」」」 「2階に上がり、皆川の入った部屋に行くと、どこから持ち出したのか、未姫の写真があったのよ。 …だから、皆川の作戦に乗った。」 「…乗った?どういう…?」 彼女は得意気に笑みを浮かべ、俺たちを見回した。 「…パパと皆川の過去話。私は動揺したフリをした。 …ずいぶん前から知ってたのよ。アレ。」 「……こ!……コノヤロー…!」 「ちくしょ……level6か!!」 「踊らされたな。俺らも…」 無線越しに聞く彼女の声。 今でも鮮明に残っているほどの叫び声。 長官を失ったと思ったときに叫んだ声と同じだった。 それを知ってたからこそ、俺らは必死になったんだ。 「…ちょっと待て。それじゃああの叫びは…」 「ゴメンね?蒼依。あなたに迷いがあったからやっちゃった。」 「…迷い…?……あ!」 「隊員突入命令。迷っていたでしょ? 私が館の中に入ったときに命令すると思ってたんだけど、私のことが気になって出来てなかった。 迷いをなくすために叫んだってわけ。」 「「…やられたな。蒼依。」」 「……スミマセン……」 「気にしなーい。結局、ベストタイミングだったのは、蒼依が命令した瞬間。 私がサシで皆川と対峙している時だったからね。」 あの動乱での出来事が、次々明らかにされていく。 結局、俺たちも彼女の計画通りの行動をとらされていたわけだ。
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