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「…でも、いくら考えても一つだけ解けないことがあった。」
「…告白?」
「うん。あの単独奇襲時に、なぜ私に気持ちを伝えたか?
そして戦闘中に気が付いた。…今なら3人も分かるんじゃない?」
「「「…お前に自分を殺して欲しかった。」」」
「…正解。
そう考えればすべて納得いった。
大学卒業間近のあの時期から、皆川が私に面バレした理由も。
暗殺リストに載って警告しに来たのも。
私を傷付けてまで"仲間"の存在を知ろうとしたことも。
黒幕の正体を安易に見付けさせることも。
私を傷付けた奴らに制裁を加えることも。
蒼依と離婚させたかったのも。
……未姫を殺したのも。」
彼女に対する気持ち。それを表しているのが彼女以外への攻撃や警告。
そして、仲間や家族への攻撃は、人を傷付けることしか出来ない自分を、彼女に殺されることで止めてほしいという願い。
知れば知るほど、皆川がどれほど彼女を愛し、そして自分という存在を抹殺して欲しかったか理解できる。
「確信は持てた。…確証が欲しかった。
…でも、隙がなかった。
その"隙"を戦闘中に知った。
…覚えてる?皆川が隊員たちに向けて発砲した時の崩れた"隙"。それが"敬語"だった。
それに気付いた私は、皆川の敬語を崩すために余裕をなくす。奴がかわせるギリギリで連続攻撃をしていった。
最終的に2階から蹴り落とした。…そこに植え込みがあるという偵察班の情報を知ってたからね。
…そして遂に崩した。爆発で壊れた無線だと知らない皆川は、私にしか聞こえないような小さな声でこう言った。
……"俺を殺せ。倉原心"…と。」
その時の情景が目に浮かぶよう。
彼女の計算され尽くしたプランに、もはや声を出すことすら出来なかった。
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