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「あ、そうだ。心。」
彼女の涙が収まった頃、彼女の言った言葉の中で、一番引っ掛かっていたこと、そして実行したいと思っていたことを告げた。
「…姫に会いたいんだ。どうすれば会える?」
「あ。そうだった!」
涙を服の袖で拭うと、立ち上がって俺の手を引く。
「花音に会いに行こう。」
「…え?花音じゃなくて未姫に…」
「だから花音に会いに行くの!」
ドアを開けて廊下に出ると、そこで待っていた2主任。
「お?仲直りした?」
「喧嘩じゃないもん!…今から姫に会いに行くの。陸と成も行く?」
「マジで?行く行く♪」
似た者同士の二人は、さっさと走って10階へと上がっていった。
「蒼依。お前は信じてるわけ?」
「お前は疑ってるんだ?」
「半信半疑。成だってそうだ。現実にあり得ねぇもんよ。」
「まぁな。…それでいいと思う。見たものだけを信じていればいい。
ただ俺は、心を信じると決めてるから。俺が信じてやれないなら、他の誰があいつの支えになってやれる?
それだけの理由だ。お前はそれでいい。」
霊感が強いわけでもなく、オカルトが好きでもない。しかし、彼女の話はそれに似た感じ。
彼女だってそうだ。
ただ、家族の話になると別次元の考え方。
そう考えつつ、長官室プライベートルームに揃って入る。
「あーーーー♪ぱぱー!ここどー!」
「のんちゃん!会いたかったよーー!」
俺たちの顔を見るなり、ハイハイしてきた愛しい娘。
優しく抱き上げ、キスを繰り返す彼女を見ながら、俺と2主任は、先に長官の元へ向かった。
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