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彼女が床に座り、花音を抱き上げ右膝に乗せた。
「未姫?ママのお膝に乗って?」
「……!ねーーー♪」
花音が笑顔で対面の膝の上を手探りする仕草。そこに未姫が座っていることを教えてくれる。
左腕も花音と同じように包んだ彼女は、見えないものを見ているように優しく微笑む。
それはまさに母親の表情。
俺も床に座り、彼女と花音、そして、そこにいるであろう未姫を包み込んで抱き締めた。
「…4人で家族だもんな。」
「うん。…みんな大好き。」
「スゲーな。なんか俺未姫が見える気がする。」
「俺も。蒼依と心に抱き締められてる。」
……そして、奇跡はまだ続いた。
「……うにゃーーー!!」
急に花音がその笑顔を止めて。
ニヤッとしたと思ったら。彼女の耳を噛んだ。
「「……………」」
「心!どうしたの!」
「…なんだ?二人とも真っ青だぞ。大丈夫か?」
「…かっ……ちが……み…!!」
「は?何?心!もっと詳しく!」
「…いや、今さ…花音が未姫。多分。」
「「え゛」」
親だから分かる。子供の癖や行動。
未姫はよく、彼女がくすぐったがるのを面白がって、耳を噛んでは遊んで喧嘩していた。
「…きゃはははは!!」
「この笑い方!性格!おいコラ!未姫でしょ!
いつからこんな高等技術身に付けたの!
のんちゃん!ペイってしなさい!ペイ!!」
「心…ペイって…」
「……んん!!!」
「…くっ!この反抗娘…未姫だわ…」
「……………」
花音…いや、未姫は、彼女を突き飛ばすと、ペタペタと這いつくばりながら2主任の方に向かっていった。
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