終焉。 そして……

42/69
前へ
/1117ページ
次へ
彼女が床に座り、花音を抱き上げ右膝に乗せた。 「未姫?ママのお膝に乗って?」 「……!ねーーー♪」 花音が笑顔で対面の膝の上を手探りする仕草。そこに未姫が座っていることを教えてくれる。 左腕も花音と同じように包んだ彼女は、見えないものを見ているように優しく微笑む。 それはまさに母親の表情。 俺も床に座り、彼女と花音、そして、そこにいるであろう未姫を包み込んで抱き締めた。 「…4人で家族だもんな。」 「うん。…みんな大好き。」 「スゲーな。なんか俺未姫が見える気がする。」 「俺も。蒼依と心に抱き締められてる。」 ……そして、奇跡はまだ続いた。 「……うにゃーーー!!」 急に花音がその笑顔を止めて。 ニヤッとしたと思ったら。彼女の耳を噛んだ。 「「……………」」 「心!どうしたの!」 「…なんだ?二人とも真っ青だぞ。大丈夫か?」 「…かっ……ちが……み…!!」 「は?何?心!もっと詳しく!」 「…いや、今さ…花音が未姫。多分。」 「「え゛」」 親だから分かる。子供の癖や行動。 未姫はよく、彼女がくすぐったがるのを面白がって、耳を噛んでは遊んで喧嘩していた。 「…きゃはははは!!」 「この笑い方!性格!おいコラ!未姫でしょ! いつからこんな高等技術身に付けたの! のんちゃん!ペイってしなさい!ペイ!!」 「心…ペイって…」 「……んん!!!」 「…くっ!この反抗娘…未姫だわ…」 「……………」 花音…いや、未姫は、彼女を突き飛ばすと、ペタペタと這いつくばりながら2主任の方に向かっていった。
/1117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5308人が本棚に入れています
本棚に追加