柚葉の受難

3/32
前へ
/32ページ
次へ
「ところで、今日のミッションは、クイズ系だけど、柚葉さんそういうの大丈夫かな?」 哲じーは先に出したブラックコーヒーを飲みながら、PDAを操作していた。 あーん。知的でカッコイイな。 クイズかぁ。テレビで見るのは大好きなんだけど、答えが浮かんだ頃には次の問題になっているのよね。 「柚葉さん?」 「あ……う、うん。大丈夫……かな?」 「僕は意外とクイズは得意だから安心して。生還率も高いしね」 意外と得意? 哲じーったら、謙遜(けんそん)しちゃって。 焼き上がったタコさんウィンナーを盛り付ける。 さぁ、後はプレーンオムレツを焼くだけよ。 「おっ! 美味そうな匂いだ。二人共おはよう。修司と美咲はもうすぐ来るよ」 入ってきたのは蓮ちんだ。 昨日は格好良かったな。黙って出て行って、さらっと強い剣を手に入れて帰ってきちゃうんだもん。いざという時に力を発揮するタイプだよね。 丁度オムレツが焼き上がった頃に、修ぞうとミサリンが入ってきた。 「朝から豪勢だな! 今日のミッションで俺は剣士に生まれ変わるから、その前祝いってとこか」 うーん。私が普段食べる朝ご飯と変わらないんだけどね。でも修ぞうは何でも美味しそうにたくさん食べるから好き。 ――あら? ミサリンはいつも少食だけど今日は特に食べていない。嫌いなものが入っていたのかなぁ。 それに気が付いたのか、隣に座っている蓮ちんがちょっかいを出す。 「今日のミッション、オレ達はスキルが出るまで粘るから美咲も頑張れよ。ほらもっと喰え。タコさんウィンナー美味いぞ」 「アンタに言われなくたって頑張るわよ!」 怒ったミサリンは目の前の料理をガツガツと食べ始めた。 うふふ。蓮チンのさりげない気遣いに、ミサリンは気が付いてないのね。なんだか二人を見てるとハラハラしちゃう。 「ミッションの最終確認をするから。みんな食べながらでいいから聞いてて」 哲じーが簡単に今日のミッションのポイントを説明した。 私は安心。クイズだから戦いはないもんね。 食事も終わり、各自が準備を整えギルドに向かった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

447人が本棚に入れています
本棚に追加