柚葉の受難

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――・・・・・・ 蓋(ふた)を開けると、グツグツとした心地好い音と共に香ばしい焼けた味噌の香りが漂ってきた。 「昼から鍋なんて贅沢だけど栄養たっぷりだからたくさん食べてね。佐伯くんも、もう同盟チームなんだから遠慮しないでね」 「うほー! 美味そうじゃねーか。柚葉、これは何の肉なんだ?」 一度戦ったキマイラのお肉とはとても言えないわね。 「――く、熊かな?」 皆が美味しいと言いながら食べてくれると私も嬉しい。やっぱり食事はこうでなくちゃね。 「そうだ。午後の予定なんだけど少し変更するよ。オレンジライフのリーダーからメールが着てさ、イベントの会議を開催するらしいんだ。 それに僕と蓮で参加しようと思っている。 三人は一緒にスキルドロップのミッションをしていて欲しい。柚葉さんはスキルPが回復しきっていないからね気をつけて」 このキマイラのお肉はやっぱり煮込むと美味しいな。今度は、リザードマン料理に挑戦してみよう。 「柚葉さん聞いてる?」 あ、またやっちゃった。 「うん! 大丈夫!」 「柚葉さんに、佐伯から提案があるらしいんだ」 落ち着きなく、もじもじしながら佐伯くんが話し出した。 『じ、実はさ、修司の【オーガスピア】の材料が揃ったんだ。 その素材に、今日蓮が偶然手に入れた【七色の羽】ともう一つの材料を加えると、レア度★5の【グングニルの槍】が作れるんだよね、そ、それで……』 なんだか歯切れが悪いな。どうしたんだろう。 『もう一つの材料っていうのは、だ、だ……だ……』 だだだ? ――ま、まさか!? こんな時だけ私のカンは、ずば抜けて冴えている。今回ばかりはハズレてお願い! 『245Ctのダイヤモンドなんだ』 いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!                ・
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