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「じゃあこれで会議を終わろうか。最後に僕たちのリーダーから一言」
そういって会議を締めた哲二の言葉に美咲は驚いていた。
「えっ、私?」
「"下僕たち"のリーダーは美咲しかいないだろっ!」
と、ここぞとばかりにオレは突っ込むと、会議室が笑いに包まれた。
「か、考え事していただけよ! アンタと違ってリーダーは色々考えることがあるんだからっ!」
荒々しく立ちあがった美咲は、一人一人の顔を確認するように視線を移していった。
「……明日のイベントはプレイヤーチームが必ず勝つわ」
いつもの美咲だ。哲二も美咲が話すことで皆の士気を高めようと思ったんだろう。
「だから……」
言いかけた美咲は、一瞬右上を見て何かを思い出しているようだ。
「だから……
逃げなさい。
危険だと感じたら逃げなさい。
自分の命を一番に考えるの」
美咲の口から逃げるって?
全員が唖然(あぜん)としているが、気にもせず続ける。
「負けたっていい。逃げたっていい。生きてさえいれば必ずチャンスはある。
そうよ。生き抜くの。
わ、私は、
私はアンタ達のPDAなんか救出しないっ! わかってんのっ?」
最後の逆ギレは意味が分からないが、美咲の言葉は皆の心に響いたことだろう。
いよいよだ。
――明日、戦争が始まる。
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