奪われた美咲②

14/21
前へ
/33ページ
次へ
=============== ≪視点≫ 西条 美咲 =============== 【姫】発動。 刀身を纏う白いオーラが、手首から肘、肩と包むように広がり全身にいきわたった。 蓮の【命懸け】みたいだわ。 般若の声が頭に響く。 ≪姫様、ワシの技は武器のオーラを利用して肉体を強化いたしますぞ≫ 全身が軽く感じふわふわしていながらも、力がみなぎっている。 これなら斬れる! お互い対峙したまま動かない。 私の視界から景色が消えていき、音までもが無くなっていく……極限までに集中した私の世界。 ――今しかない! 地を蹴り独裁者の間合いに入った瞬間、殺気を感じ取る。 居合いじゃない!? 切り落とされたはずの左腕から、ヌメッとした細長い触手が伸びてきた。 落ち着くのよ。 いち早く察知した為、触手を寸前でかわす。 さらに日本刀の攻撃が追い討ちをかける。 ――キィィィィィン! その一撃を白い剣で受けながら、さらに接近。 鍔(つば)競り合いに持っていく。 無理はせず、力の流れを感じるのよ。 体と体が触れそうな間合い。 そのままグラネルの柄頭を独裁者の顎(あご)へと滑らせた。 ――ビシッ!! 死角からの一撃に奴は体勢を崩す。 輝く神剣を振りかざしながら間合いを詰めていく。 ――ガシッ! いけると思ったその時、かわした触手が足元から絡み付いてきた。 ――なっ!? 足元から太股、腰へと何本にも枝分かれし伸びてくる。 この体勢はまずいわ。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加