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頭の中に何度もイメージする。
奴の一撃目は必ず、両手で右上から左下に剣を振り下ろす。
その剣を受け流しながら右側に入り込む。
いける。私なら出来る。
覚悟が決まった時、食人鬼は追い付いてきた。
『早く……喰わせろ……』
【ホワイト・シーク】発動。
目くらまし程度でも、やれることは全てやるわ。
右上に振り上げられるグレードソード。白い光で奴は私を捉えきれていない。
サーベルをいつもより浅い角度で前へ出す。
――キィィィィン!!
イメージを超えた衝撃にサーベルが持っていかれそうになる。
今までだったら全力であらがっていた。
逆らわず、サーベルに込めた力を抜いて、奴の力を利用する。
勢いを身体の回転力に換えて食人鬼の背後に回り切り付けた。
――――ブシュッ!
さっきとは違う手応えと共に真っ黒な血が噴き出す。
出来たわ!!
もう一撃いける!
さらに斬り付けながら奴の左側に移動すると、敵は右側を振り向いたため、背中が再び私の前へ。
今よっ!
今度は右足の腱に一撃を加え、下がった食人鬼のうなじ目掛けてサーベルを突き刺した。
――ブッシュッ!
飛び散る鮮血。人間ならば呼吸中枢がある急所。頭部を蹴りつけ、グレードソードを踏み付けた。
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