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即席の木箱だ。
みかん箱くらいだろうか。
誇らしげに立っている修司の横には高さ150㎝位の台が置かれている。
その上に乗っている穴の空いた木箱からは時折ガコガコと音が。
何かが入っている。それも生き物の気配だ。修司に聞いても『穴の前に立て』の一点ばり。
嫌な予感しかしない。
朝稽古。大事を取って美咲はまだ寝かせている。
つまり修司と二人きり。
「びびってんじゃねー!」
誰だって得体の知れない箱の中から生き物の気配がしたらびびるだろうが。
仕方ない……。
箱の前に立つと丁度顔の辺りに穴があった。
修司はいそいそと箱の後に回り込み何やらごそごそしている。
「いくぞ!」
えっ?
穴の中がチカッと光る。
「うわっ!」
木箱の穴から勢いよく炎が吹き出した。
――熱い!
最初から防御姿勢だった事も幸いして直撃は避けれたが……髪が焦げた臭い。
「な、何すんだいきなり!」
「どうだ! 俺様特製の殺気マシーンだ」
殺気マシーン?
「苦労したぜ! 朝早く起きてサラマンダーを捕まえてこの箱に閉じ込めたんだ。こうやって後から棒で刺激すれば火を吐くシステムになってる」
馬鹿だ。
「オマエ危ないだろ!殺気なんか感じねぇよ! 今度は修司がやってみろよ!」
「いいだろう。俺様の……」
『あのぅ、すいません』
振り向くと修司より背が高く筋肉質な男が立っていた。
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