㈱柚カンパニー

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修司は男に向かって歩き出す。 顔を相手の鼻先数㎝の位置まで近づけ顎を突き出す。首は45度に傾け、視線は絶対に離さない。 修司得意のメンチ切りだ。 「誰だテメー?」 ビビってる、というよりはその動きにヒキ気味の男。 『ぼ、僕は向木田 勝洋(むきだ かつひろ)という者です。柚葉様に用がありまして』 「あんっ? ムッキーだと?」 首を左右に何度も傾(かし)げながら、小刻みに足踏みをしているヤンキー。 『あ、いえ。ムキダです。黒の女神、柚葉様に……』 黒の……? 柚葉の属性を知っているかのようなフレーズ。 いい加減チンピラみたいな修司を止めて話を聞いてみた。 どうらや昨日のミッションで柚葉に助けてもらったらしい。 ボス二人を相手に果敢に挑んだ、柚葉の戦いぶりを興奮気味に話すムキダの額には汗がにじみ、血管が浮き出ていた。 あの柚葉が? 確かに職業も★5のレアだし強力なスキルも有しているが、そのたくましい姿が想像できない。 本当の柚葉は、違うのか? 普段口数が少ないのも、実力を隠している、とか。 それにカルミナ村で誰かと会っていた事を隠したままだ。 まさか。 いや、駄目だ仲間を疑うなんて! 沸き上がる疑惑を無理矢理頭の奥底へ押し込める。 「今、呼ぶから待ってて」 寝ている柚葉をPDAで起こし呼び出した。
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