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やってきた哲二に、ムッキーは一生懸命説明している。
筋肉男の願いは、オレの予想以上に重いものだった。
職業の格差……
職業選択で、戦えない職業になってしまったプレイヤーが数多くいる。ムッキーもそのうちの一人だった。
たまたまムッキーはペットの散歩中に、倒れ消えかけていたプレイヤーを発見し、救出したところ武器屋になることができたらしい。
武器屋や防具屋、道具屋などはプレイヤーが多く利用するので需要が有り食べてはいける。
それ以外の遊び人や電気屋、イラストレーター、小説家……働く場所もない仲間22名をムッキーが少ない収入で養っているらしい。
戦えるプレイヤーは比較的お金が貯まりやすい。元手が0でも弱い敵をコツコツ倒すことで簡単に数時間で1万円程度なら手に入る。
そういった意味ではオレ達は恵まれている。
しかし、全員を養うほどは……
「問題ない。全員雇うよ」
驚いた事に哲二はその申し出を受け入れたのだ。
しかも、寮完備で月給18万プラス歩合を支払うと。
「おい哲二大丈夫なのか?」
目の前には号泣しながら哲二の両手を握るムッキー。
「い、痛いよ。ムッキーさん。ちょうど募集するところだったから気にすることないよ」
哲二は遥か先を見据えていた。
会社組織にしてしまうという案。
オレンジライフの情報収集力にも負けない組織を作る。
オレには想像も出来ない案だ。
この男なら簡単やってしまいそうで怖い。
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