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全員に履歴書を書いてもらい適正検査をすることをムッキーに伝える。
喜んだ筋肉男は仲間に報告するべく慌ただしく帰っていった。
社名は、柚カンパニー㈱
柚葉が社長、哲二が副社長だ。
「どうして哲二が社長にならないんだ?」
「社長にはカリスマ性がないと。黒の女神をムッキーをはじめ仲間達は崇拝している。そういった仕組みの命令系統のほうが扱い易いからね」
キラッと光る眼鏡のレンズ。
現実世界に戻って、働く場所がなくてもコイツの会社には絶対に入るまいとオレは誓った。
「よぅよぅ! 俺にも役職なんかくれよ!」
修司が役職?
そんな会社即潰れそうだ。
「アンタが人の上に立てるわけないでしょ? こんなおもちゃ箱なんか作ってる人間にできるわけないわ」
そう言いながら美咲は、目の前の台をガツンと蹴った。
蹴った振動が箱に伝わりガコガコと不規則な音がする。
あっ、それは!
穴から勢いよく炎が吹き出した。
咄嗟(とっさ)に美咲は、新しい武器グラネルを持ち上げる。
正面に構えた剣が白い光を放つと、吹き出した炎が美咲を避けるように反れていった。
グラネルの特殊効果か? 炎を反らす、いや魔法攻撃自体を反らすかもしれない。
それよりも驚いたのは、その反応速度だ。
美咲の動きは完全に殺気を見切っていた。
こりゃ、頑張らないと置いていかれるぞ。
「修司、ア、アンタ……」
グラネルを構えたままブルブルと震える美咲。
――うわっ!
うん。これほどの殺気ならオレでもはっきりと分かるぞ。
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