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暗黒の紋章達はシャークの名前だけで怖じけづいている。
哲二は何かを考えているようで無言だ。
重苦しい空気。
そんな空気を読めない男が槍を突き出し前に出た。
「おい、シャーク! お前スキル沢山持ってんだってな! 本当か? ちょっと見せてくれよ」
友達かよオマエ。
『……誰です貴方?』
「俺様は修司。最強になる予定の男だ」
やめろ。誰かこの男を止めてくれ。
シエルがいなくなった事で、抑制の効かなくなったモンスターが動き始めた。
『……面白いですね。いいですよ』
モンスター集団に向き直ったシャークは右手をかざす。
赤いオーラが……
なんて量だ。あれが全てシャークのオーラ?
地面から間欠泉のように噴き出すマグマのようなオーラ。
その全てが右手に集まっていく。
【赤龍】発動。
【氷槍】発動。
【闇雲】発動。
上空を旋回していた龍が急降下し、その顎から炎が吐き出される。
地面からは氷の刃が出現。その大きさや数は柚葉の何倍もの量だった。
右手からは黒い霧のような煙が巻き起こり、敵陣を包み込む。
【水柱】発動。
【ウォーター・ボックス】発動。
――えっ?
背後の気配に驚き振り向くと、美月さんがスキルを発動していた。
いつの間に。
『あの毒は水で広げたほうが感染力は増えるはずだったわよね。シャーク』
暗黒の紋章達は、声もあげる間もなく水牢(すいろう)に閉じ込められていた。
『……えぇ』
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