修司の槍

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なんでこんなに長い武器を自由に使いこなせるんだ? 竹刀や木刀みたいには、ガッシリと手に馴染(なじ)まねー。 ――またくるっ! 矢のような速度で突き出された一撃を、下から上へ槍で弾いた後、そのまま追い討ちをかけた。 ――えっ? 弾いたはずの槍が巻くようにグングニルを絡み取り、逆に自分の腕が下がってしまう。 やべぇ。どうなってんだ! 【半月】発動。 直径1m程の円が胸元に出現。その上半分は黄色く輝いていた。 真っ直ぐに伸びてきた矛先。 坊主頭の一撃が黄色く輝く部分に当たり、弾かれる。 力一杯打ち込んでもよ、力が流されるっつうか、空回りしちまう。 「おい! クソ坊主、お前もしかして槍が使えんのか? ちょっと教えろよっ」 『はっ!? 何、言ってんだお前。戦闘中だぞ!』 なぜだか奴は唖然(あぜん)としている。 「最強の剣士を目指してる。 だがな、訳あって槍を持たなくちゃいけねーんだ」 『職業ハズしただけだろうが……お前なんかに構ってる場合じゃないんだ』 こいつ読んでやがる。哲二みてーな野郎だな。 「俺だって真剣だ。槍が使いこなせねぇんだ! だから教えろ!」 そうだ。槍だとか刀だとか武器なんて何でもいいんだ。ずっと、剣士を目指すって言い続けてきたから今更言えねぇけど…… 俺が目指しているものは…… 『お前と話していると頭がおかしくなる。敵だぞ俺は』 「俺はよ、頭がよくねーから、言葉や理屈じゃ人を信じねぇ。 だかな、お前の槍は本物だ。 才能だけじゃねー、努力して出来上がったもんだ」 『ふざけんな! 何がわかる!』 「武器交えたら分かるだろっ!」
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