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「いくぜ! グングニル! 力を貸せや!」
手に持つ槍が緑のオーラに包まれる。
中央部分を両手でもち、回転させながら突っ込んだ。
槍の先端と柄。
さっき覚えたぜ、使い方。
左右に、上下に、矛先と柄を打ち分ける。
その全てに反応する坊主頭は焦りの色を隠せない。たまらず離れて距離を取る。
『お前……学習したのか?』
「お互い守るもんがあんなら剣で決めるしかねーだろっ!」
叩きつけた槍を地面に突き刺し、しならせる。
その反動で一気に距離を縮め奴の脇腹目掛けて蹴りを放つ。
蹴りがめり込む感触と共に、軸足の太ももに奴の槍が刺さった。
――痛っ。
刺さった槍の中央にグングニルを振り下ろす。
矛先が大腿部に刺さっていたため、逃げ場を失った衝撃は奴の手元に走った。
「刺さって固定されたら手元で操れねーよな」
カラーンと棒が地面に落ちた渇いた音が鳴り響く。
『お前、わざと……』
坊主頭は槍を落とし、俺はすぐさまそれを踏みつけた。
「仲間裏切った奴に負けるわけねーだろっ!」
膝から崩れ落ちる敵は、戦意を失っていた。
――でも、納得いかねぇ。
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