1324人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
童子切りを振り降ろす。
ジャキンと無機質な物体を打ち付けた音。関節の継目(つぎめ)に喰い込むが切断するには至らない。
まいったな。堅いにも限度があるだろ。
"睦月"使えば一撃で斬れるだろうけど・・・・・・燃費悪いからな。
残るSランクは六体。
浅黒い体は筋肉で覆(おお)われ、その顔には大きな目玉が一つ。
手にするサーベルは、長さこそないが太く鋭い。
スピードと破壊力のあるタイプ。すでに奴は防御系のスキルを発動していた。
《パトリシア様、Sランク撃破。拠点南西付近に敵が出現。Sランク十二体》
あいつも同じか。
ま、パトなら大丈夫だろう。それより気になるのは他の門だ。
左右正面三方向からサーベルの攻撃が繰り出されてきた。
【弥生】発動。
一歩下がって刀を振り上げる。
オーラをまとった三体の分身が同様な動きから刀を振り下ろす。
【長月】発動。
3m程の長さに調整した橙色の刀を横に構え、弥生により分身した体ごとなぎ払った。
「各門の状況頼む」
敵ニ体を切り裂くが、三体目にはかわされる。
《各門、異常ありません》
あと四体。
――異常ない……か。
背後から攻撃の気配を感じ、横に転がる。
【水無月】発動。
周囲の空気を集めたオーラが童子切りを包み込み、炎が燃え盛った。
業火(ごうか)は瞬く間に塊となり、刀の先端に集められていく。
「おらぁぁぁぁぁ!」
狙いを定め固まっている三体のSランクに向けて撃ち込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!