修司の槍

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傷口を包帯で巻きながら手当てをしているとチェンが話しかけてきた。 『ありがとうな。 何のために、今まで武術を学んできたんだ、俺は・・・・・・』 気持ちは分かるけどよ。 「今、気がついたんだからいいんじゃねーの? 人生なんて何度でもやり直せるだろ」 かっこよく得意のことわざで決めてやるぜ! 「日本にはな、"七転抜刀(しちてんばっとう)"って言葉があんだ。何回転んでも、また刀を抜けば何とかなるもんだ」 『……槍も"同じ"か?』 目が合ったチェンの顔には迷いなどなかった。 もう大丈夫だなコイツは。 「お前の為にも、俺のやり方でクリアしてやるからよ!」 チェンの想い・・・・・・ グングニルに一人分の重さが加わった気がした。 ――ぜってー、クリアしてやる。 チェンに別れを告げ、美咲のもとへ駆け出した。
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