柚葉の一歩

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残りの蝙蝠(こうもり)ちゃんは、あと二匹。 気持ち悪い変態隊長だけど実力は本物なのね。 さっきの【猿舞】とかいうスキル。人間離れした動きで飛び回ってきた。早過ぎてスキルも当てられなかった。 まさにサル。岡ザルよ! 『ん~。ほら、もっと叫びながら逃げないと』 反対側へ出れば誰かいるかもしれない。 サルの攻撃から逃げ回り、やっとの思いで門脇の扉まで辿りついたんだ。 ――痛いっ…… 澄んだ金属音と右肩には三本の傷跡。蝙蝠ちゃんでも追えないスピードの攻撃だ。 残り一匹。 急いで扉を開けて反対側へ飛び出す。 な、何これ…… 門前には、黒いパーカーの集団。 何百mか先の交戦場にはモンスターの大群に挑むプレイヤー達が。 『岡の野郎、まだ遊んでんのか』 誰この人。一人だけ黒い鎧に身を包んでる。 マントなんかしちゃって趣味が悪いよ。 『ん~。逃げ場なんてないって』 後ろの扉から岡が出てきた。 これって状況が悪くなっただけ?
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