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な、なんで分かるの?
黒い短剣が降り注ぐが、霧に突入した瞬間、溶けはじめた。
――う、嘘!
霧が薄くなり。ボタボタと溶かされた黒いオーラの塊が地面へと吸い込まれていく。
複数に同時にダメージを与えられるスキルなのに……
首を左右に振り、頭を切り替え日下部に突っ込んだ。
マント男の武器は杖。あれなら魔王くんが切り裂いてくれる。
力強く振り上げられた剣。前回よりも長く、厚い。その周囲には邪悪な気が満ちていた。
『ん~? 駄目だよ。僕から目を離しちゃ』
走る痛み。岡ザルの一撃が背中をかすめたんだ。
爪の攻撃を蝙蝠ちゃんが防げないのは四回に一度くらい。
次は大丈夫なはず、振り返らずに前へ進むんだ。
日下部を射程範囲に捉えた左腕は、剛腕を振り下ろす。
その間に三人の部下達が割り込んできた。
――邪魔しないで!
【斥力】発動。
魔王くんの一撃に武器ごと引き裂かれたプレイヤー。残る二人は向けた右手が吹き飛ばす。
宙に舞った二人は回転しながら城壁に激突した。
【猿舞】発動。
【ストーン・ボール】発動。
【炎球】発動。
マント男から放たれた巨大な石を炎の球で相殺。
あのサルみたいなスキルはまずい。
岡ザルの攻撃にスキルで対応しようと振り向いた。
次々と切り落とされていく蝙蝠ちゃん。
速さのあまりブレて見えるその姿は、二つ名通り"四つ手"だった。
さっきもあれにやられたんだ。
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