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あっという間に、十三匹の蝙蝠ちゃんは消失した。
向かってくる鋭利な爪を防ぐ手だてはない。
スローモーションのように私の脇腹に食い込んでくる爪。
――いやっ!
激しい痛みとダメージでうずくまる。
追い撃ちをかけるように顔面に蹴りが飛んできた。
ガードした両腕に鈍い痛みが走る。
『んー♪』
痛め付ける事を楽しんでるわ。
なんでいつも私ばっかりこんな目に合うの?
もう、嘆(なげ)きたくもな・・・・・・
『岡、先にこの腕をなんとかしろ!』
霞んだ視線の先に映るのは、魔王くんが三人のプレイヤーを切り裂く場面だった。
ま、魔王・・・・・・くん?
これで残るは四人。岡ザルと日下部、それに部下二人だ。
痛みが強い腹部に、恐る恐る手を当てたが切られてはいなかった。
魔王くんが頑張ってくれている。
『ん~!? 最初からおかしいと思ったんだけど、そのローブ異常に防御力が高いな』
これはお父さんがくれたローブ。多分最高ランクの装備品。
――守ってくれたんだ。
ありがとう・・・・・・お父さん。
ありがとう、魔王くん。
二人に守られた。ううん。今だけじゃない、いつも誰かの後ろで守られている。
――私、何やってるのかな。
悔しさが込み上げてくる。
何の悔しさ?
私が弱いから?
違うよ。そうじゃない。
前に出れなかった自分にだ。
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