柚葉の一歩

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お父さん。私、決めた。 ――前に出る。 怖いけど一歩だけ前に出るから、勇気を頂戴。 【炎球】発動。 【氷槍】発動。 右手と左手に、それぞれのオーラが宿る。 『そんなガキ相手に何人やられているんだ!』 私は、いつも誰かの後ろに下がってた。 このゲームに来ても変わらない。 ミサリンの後ろが定位置。そこからただ眺めてた。 何をするにも・・・・・・哲ジーの頭脳に任せ、委(ゆだ)ねている。 修ぞーや蓮ちんの戦う姿に頼りきってた。 今もそう・・・・・・ 隣に佇(たたず)む魔王くん、こんなにボロボロになっちゃってごめんね。 私は一歩、前に出る。 誰かの後ろで見ているだけの自分が嫌だから。 『ん~。装備は高レベル。職業もレアかもしれませんね』 『四人掛かりでいくぞ』 両手のオーラを増幅させる。 もう一度だけ一緒に戦ってね。 物言わぬ左腕に、黒いオーラが充填(じゅうてん)されていく。 『岡、お前はあの腕をやれっ!』 ――絶対に諦めないんだからっ!
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