柚葉の一歩

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『この野郎!』 傷口を押さえ立ちあがった岡は怒りの形相(ぎょうそう)で残った爪を構えた。 スピードの落ちた一撃を、私は右側へ移動し回避する。 ――きゃっ! 背後から痛みが走る。 日下部に蹴られたんだ。 その勢いで地面へと転がった。 『んー!! 俺の腕をよくも・・・・・・』 『やめろ。こいつは何するかわからねぇ。俺がスキルでしとめる!』 いいわ。怖くなんかない! その瞬間を見逃さないように、二人を睨みつけた。 【ストーン・アロー】発動。 杖の先端にオーラが集められていく。 ギリギリまで見極めなきゃ。 集められたオーラが吸い込まれ杖の周囲が螺旋状に歪む。 ――くるっ! 【卯月】発動。 私の体を無数の玉が包み込み身動きが取れなくなった。 うそ・・・・・・ 何これ? まだ何かスキルを隠し持ってたの!? これじゃあ、ベルを押せないよ。 この橙色のピンポン玉はどんな攻撃スキル? 歪んだ空間から数本の矢が飛び出した。 発射された石の矢を、包んでいる玉が弾き返す。 『ん~!? 死ねぇ!』 さらに、岡ザルの爪がピンポン玉へと突き刺さるが、音もなくその攻撃を跳ね返した。 これは…… 『……武、お前何してんだ?』 視界に入った男は、両方の瞼(まぶた)から血を流している。 この人……目をつぶっているから分からないけど見た事がある。 えーと・・・・・・
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