柚葉の一歩

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『は、葉山……さん』 そうだ! ハヤマ ライトだ。 岡ザルが口癖の"ん~"を忘れるくらい動揺している。 た、助かったかも・・・・・・ あーん。よかった! 雷斗さん、カッコイイ! でも、何で目から血が? 『柚葉ちゃんだったよな。そのまま中にいて。体力だけなら回復するから』 この玉は、防御と体力回復を同時にできるスキルなのかな。 『よう。日下部さん。会うのは初めてだな。 まさか"ミュー"まで操っているとは思わなかったわ』 ミュー? なんだろう。 雷斗さんは、イヤリングを乱暴に外し投げつけた。 そして、閉じていた両目を開く。 その素敵姿に見とれていると、後ろから金切り声が鳴り響く。 『キャー! 雷斗君、遅くなっちゃった! 待った?』 また・・・・・・誰か現れた。 白とピンクの二色、そしてフリフリを基調とした純然たるロリータファッション。 私のゴスロリ服と交換して欲しいかも。 『最初から待ってないぞ。それよりパト、団はどうした?』 華麗にスルーされたパトと呼ばれたフリフリは、まったく気にしていない様子。ハートは強いみたいだね。 【ストーン・アロー】発動。 日下部がいきなりスキルを発動した。杖から無数の矢が飛び出す。 ロリータが手にするレイピアを掲げると、突風が吹き荒れる。 フリルのスカートがひらひらと舞い上がった。 石の矢が全て巻き上がり飛んでいく。 『オマエ、次動いたら殺すから』 鋭い眼光から殺気が放たれる。鈍い私でも、皮膚にビシビシとそれが伝わってきた。 に、二重人格? 『止めろ、パト。 コイツからは色々聞かなければならねーんだ。何でも暴力で解決しようとすんなよな』
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