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合流した二人は雷斗さんに状況を説明した。
裏切った隊長の一人、チェンさんの居場所が分からないらしい。
担当は南門。ミサリンが危ない?
纏(まと)わり付いていたピンポン玉が消えていく。
『おっ。消えたみたいだな。体力満タンだ、もういいぜ。
怪我が治ったわけじゃねーからな』
まだスキルは使えないけれど、力は出てきたかも。少しお腹も空いたしね。
後ろを見ると哲ジーがPDAで誰かに電話をしていた。
「駄目だ。美咲さんも修司も電話に出ないよ。心配だから南門へいこう」
私を先頭に三人で南門へ向かう。
『お前ら、合流したら西門に来てくれないか?』
どこかに電話をしたり、岡ザルに質問をしたりと、雷斗さんは忙しそうにしながらも声をかけてくれた。
「はいっ! ありがとうございましたっ!」
力いっぱい私は答えた。
――あれ? いつもより声が・・・・・・
自分の声が、いつもよりしっかり出ているような気がした。
勇気を出して一歩だけ、ほんのちょっとだけど前に出たからかな?
私の中で何かが変わったわけじゃないけれど、不思議と気持ちは明るかった。
人よりも遅いかも知れない、人よりも小さいかもしれないけれど、私にとっては大事な一歩。
早くみんなに追いつかなくちゃね。
大好きな二人の手を取った私は、大好きな二人が待つ南門へと向かった。
早く五人揃って西門へ向かおう!
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