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《視点》 鷹山 蓮
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哲二がシエルに勝っているのはスピードだけだ。
厳しい状況。
「一つ聞いていいかな。なんで女性なのにそんな言葉遣いなの? もしかしてさ、男には負けたくないって感じかな?
・・・・・・ふーん。
案外、可愛いとこあるね。僕は好きだよそういうタイプ」
他にも勝る部分があった。頭脳と口撃だ。
『何だと、テメェ・・・・・・』
二人の距離は3m程。哲二の距離だ。
「否定できないってことは図星だね。大体、男だから女だからって考え方自体が"女"の考え方なんだよ」
【シルバー・チェーン】発動。
伸びたオーラが3m程の鎖に変わっていく。
『そこを動くんじゃねぇぞ。口だけ野郎が!』
「あ。今スキル使わないほうがいいよ。僕には当たらないから」
何を狙っているかわからない。ただ、挑発する為の演技だということは分かっているが・・・・・・
その聞き慣れない哲二の口調に、オレもムカついてきた。
【闇影】発動。
大鎌から黒いオーラが伸びてくる。
【プチライト】発動。
激しい閃光が辺りを包む。
そのまばゆい輝きが黒いオーラを照らすと、みるみると灰色になっていく。
右腕を振りかぶり手元のチェーンを振り回した。
灰色に変わったオーラを銀のチェーンが切断。
「ほら。影だから光に弱いかと思ったらその通りだったよ」
哲二はいつも何手先まで考えているんだ?
改めてその回転の速さに驚かされる。
しかし・・・・・・
『イラつく野郎だ。テメェから攻撃してこいよ!』
シエルはノーガードで仁王立ちになった。
そうだ。哲二には致命傷を与えられる技がない。
唯一の【トリプル・ナイフ】もシエル相手に効くかどうか・・・・・・。
時間を稼いで美咲と柚葉が来ても、この人数相手では状況は変わらない。
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