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【空蝉】発動。
なっ!?
それは悪手だろっ!
ただの一時しのぎに過ぎない作戦じゃないか。
振り下ろされる鎌は哲二を襲う。
その攻撃をスルッとすり抜け、哲二はシエルに向かって一歩進み、抱き着いた。
――えっ・・・・・・
ギュッと抱きしめ、胸に顔を埋(うず)め、交差した両手にはもう一枚のチケットが。
【黒鉄(くろがね)】発動。
黒いオーラが哲二の体を支配する。みるみると鋼鉄のように固まっていった。
――そうかっ!
横にいる修司と顔を見合わせる。
『てめぇ、離しやがれ!』
「うっしゃぁぁぁ! ほれ、カウント"ワンッ"」
修司に合わせてオレも叫ぶ。
「"ツー"」
鋼鉄の体に完全にロックされたシエルは、その怪力で逃れようとするがビクともしない。
「"スリー"」
『カウントなんてしてんじゃねー!』
「"フォー"」
脱出は不可能だと悟ったシエルは脱力し、漆黒の鋼鉄になった哲二を睨(にら)みつけている。
「"ファイブ"!!」
哲二の勝利条件は、五秒間シエルを動けなくすること。
挑発しながら、そういう流れに会話を持っていったんだ。
最初から致命傷を与えられないことを見越して。
でも……
そんな"約束"をシエルが破棄(はき)したら、というか破棄する可能性が高いだろ。
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