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グラネルを振り上げ攻撃するも機械仕掛けの左腕に阻(はば)まれる。
正面からはハンマーの一撃。
私は後転しながら回避した。
やりにくいわ。
プログラムされた敵と、人とでは勝手が違う。
【円刃(えんじん)】
女の杖から三枚の円形の刃が飛び出した。
【炎鎚(えんつい)】
リーダー格のハンマーに炎の玉がいくつも纏(まと)わりつく。
二人同時にスキル攻撃!
神剣で円い刃を弾くも、炎の玉が散弾のように目の前に迫ってくる。
――かわせない!
特殊能力を開放させようとグラネルを前に出す。
【かばう】発動。
散弾と私の間に割って入ってきたのは泉だった。
炎の前に立ちふさがる名ばかりの勇者は、左手の盾で玉を弾きながら、残りを剣で叩き落す。
【雷柱(らいちゅう)】発動。
天高く掲げた剣から光が立ち昇る。その先の雨雲から降り注いだ稲妻が柱となって敵と私達を分断した。
「アンタ、何で・・・・・・」
正直、泉が助けにくるなんて思ってもみなかったわ。
『仕方ねーだろ。【かばう】は勇者の固定スキルなんだ。ランダムで、自動的に体が攻撃の前に出ちまう。やっかいな職業だぜ』
固定スキルが"かばう"?
アンタに一番似合わないスキルじゃない。
いい気味ね。
『二対一が二組って考えるな。二対四だ。そうじゃないと・・・・・・わかんだろ』
そうね。自動的に私をかばっちゃうのなら最初からそう考えたほうがいい。
それにしても、泉と手を組むなんて夢にも思わなかったわ。
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