勇者のスキル

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「そうね。私の邪魔をしなければいいわ」 『何だと? 可愛くねー女だ』 雷の柱がじわじわと薄れていく。 「あら?イベント会場で口説(くど)いたのは誰よ?」 『あれは二号さんって意味だ!』 「何ですって!」 睨みつけた先の勇者は、両手で剣を握り正面に構えていた。 小さな光りの球が剣に吸収されていく。 【ホーリーオーラ】発動。 泉の剣から光のオーラが放出される。その量は柚葉並に溢れ出ていた。 柱の消失と同時に、泉は勢いよくハンマー男に向かっていく。 私は、その隣で援護しているサーベルを携えた男に、グラネルで切りかかった。 斜めに切り込んだ太刀筋。 サーベルでいとも簡単に弾かれる。 最初からこの男は狙っていない。弾かれた勢いで回転し、左にいる女に向けてグラネルを振り抜いた。 意表を突かれたのか、とっさにロボットの腕を前に出し、剣を止めようとしている。 ――甘いわっ! 手首を返し、軌道を少しだけ反らすことにより、切っ先は機械仕掛けの腕をすり抜け反対側の右腕へ。 鋭い音と共に跳ね上がる右腕。 宙に舞う杖。 「きゃあああ!」 飛び散る血を煙幕(えんまく)代わりにして飛び上がり、上から神剣を振り下ろした。 【曲柱】発動。 ローブを被った男が手をかざすと地中から柱が飛び出す。 うねりながら陣地を広げる柱がグラネルの侵入を妨げてきた。 「この剣を何だと思ってるの?」 勢いのままに、振り下ろすと、剣の柄からゼリーを切ったような感触が伝わる。 裂ける柱と共に左肩から下へ、女を切り裂いた。 ――!!!? 殺気を感じ取り、グラネルを引き戻す。
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