789人が本棚に入れています
本棚に追加
転送された先は見たことがある部屋だった。
派手な調度品の数々、悪趣味なソファー、テーブルには灰皿と日本酒が。
デスクトップをクリックして覗けるポルンの部屋に似ている。
ちょうど、オレ達がいつも見ている方向の壁が逆にスクリーンになっているような。
「汚ったない部屋だわ……」
部屋の中央で美咲は立ったまま辺りを確認している。柚葉はそそくさと部屋を片付け始めた。
「おぃ、みろよ。ポルンこんなもん隠し持ってたぜ! トナカイにとっちゃこれがアレなんだな」
本棚から修司は一冊の本を取り出している。渡された本を見ると、それは水着を着た動物の図鑑だった。
ポルンの部屋で確定だ。
っていうか、動物って普段裸なんじゃないか? わざわざ水着を着させる意味がわからない。
あれこれ物色していると、スクリーンが明るくなり、ポルンが映し出された。
『あっ! お前ら何してんだ! 勝手に触るんじゃねー!』
慌てふためくポルンをなだめ、全員がソファーに座った。
『この部屋は俺様の特別製でな、回復量が大幅に上がるんだ。帰る頃には全快だぜ!』
確かに頭上のHPバーが目で見て分かるほどの早さで回復している。
さて、核心に迫るか。
「それで、ポルン何で黙ってたんだ?」
『な、何をだ。ひ、人聞きの悪いこと言ってんじゃねー』
「オメー、トナカイだろがっ!」
立ち上がる修司を美咲が睨みつけると、単細胞男は大人しく座った。
「その前に蓮、僕達に説明してくれないか?」
最初のコメントを投稿しよう!