ポルン

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転送された先は見たことがある部屋だった。 派手な調度品の数々、悪趣味なソファー、テーブルには灰皿と日本酒が。 デスクトップをクリックして覗けるポルンの部屋に似ている。 ちょうど、オレ達がいつも見ている方向の壁が逆にスクリーンになっているような。 「汚ったない部屋だわ……」 部屋の中央で美咲は立ったまま辺りを確認している。柚葉はそそくさと部屋を片付け始めた。 「おぃ、みろよ。ポルンこんなもん隠し持ってたぜ! トナカイにとっちゃこれがアレなんだな」 本棚から修司は一冊の本を取り出している。渡された本を見ると、それは水着を着た動物の図鑑だった。 ポルンの部屋で確定だ。 っていうか、動物って普段裸なんじゃないか? わざわざ水着を着させる意味がわからない。 あれこれ物色していると、スクリーンが明るくなり、ポルンが映し出された。 『あっ! お前ら何してんだ! 勝手に触るんじゃねー!』 慌てふためくポルンをなだめ、全員がソファーに座った。 『この部屋は俺様の特別製でな、回復量が大幅に上がるんだ。帰る頃には全快だぜ!』 確かに頭上のHPバーが目で見て分かるほどの早さで回復している。 さて、核心に迫るか。 「それで、ポルン何で黙ってたんだ?」 『な、何をだ。ひ、人聞きの悪いこと言ってんじゃねー』 「オメー、トナカイだろがっ!」 立ち上がる修司を美咲が睨みつけると、単細胞男は大人しく座った。 「その前に蓮、僕達に説明してくれないか?」
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