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おろおろする柚葉に、哲二がささやく。
「一応ミッションだから、答えておこうか」
そう言った哲二の指先はテーブルの上の徳利(とっくり)を指していた。
「に、日本酒かな?」
『正解! やるな柚葉。それじゃあ……』
「アンタ待ちなさいよ。今度はこっちの質問よ。答えなかったら本棚燃やすわよ」
美咲は、灰皿の横にあるマッチ箱を持って本棚に近づいた。
『わぁー待て待て! 分かった! 白状するから……』
誰も命令していないのに、ポルンは自ら正座になり説明し始めた。
昔、自分が雷斗さんや美月さんチームの音声案内だったということ。
そして、美咲があのミッションを受けることを美月さんに教えたらしい。
「なんで、私を? それまで会ったことさえないわ」
『そこまでは俺も知らねーよ。ただ、カルミナ村で面白いチームをみつけたって言ってたから目ぇ付けてたんじゃねーか?』
オレンジライフの情報収集力を考えたら、あれだけ派手に立ち回ったオレ達の事を知っていても不思議ではないな。
『じゃ、じゃあ第二問。俺様の誕生日はいつだ? 修司、答えてみやがれっ!』
なんなんだこのミッション。ポルンのさじ加減一つで合否が決まるじゃないか。
「全然、知らねー」
ぶっきらぼうに修司は答えた。しかも変な日本語で。
『――なっ!? そこはお前、知らなくてもカンで答えれば当たるかもしれないだろ! ったくよ、じゃあ正解は……』
「正解はいいわ。私の質問に答えて」
『え……俺様の誕生日……』
「――どうでもいいから」
うなだれるトナカイ。
案外打たれ弱いんだな。
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