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今回のイベントで、何かが裏で動いていると気が付いた雷斗さんは、美月さんに影で動くように指示を出した。
西門以外の状況を素早く把握すること。
首謀者を探すこと。
さらに、音声案内が乗っ取られることを危惧(きぐ)し、美月さんにはイヤリング形式の携帯を装備させた。常時ポルンと電話で繋がっていたらしい。
『そうだ! 俺様とキリはいつでも繋がってたんだぜ。お前らがラブラブな時もなっ!』
短い腕の先にある蹄(ひづめ)は
オレと美咲に向けられている。
余計なことを言わなければいいのに……
無言でクローゼットを開けた美咲は、次々とポルンの服を取り出した。
服といっても全て腹巻だが。
マッチを擦る美咲。
『――っていう、冗談だ。そ、そんなわけねーよな。あはは……』
アホなトナカイは無視だな。
だいたい全容が掴めてきたぞ。
裏切った隊長達の動きを、美月さんが全て把握していたことも理解できた。
次の質問を考えていると、ポルンが呟いた。
『なぁ、どうでもいいけどよ。シャークが部屋で待ってるぜ』
そうだ。シャークさんから逃げなくてはいけないんだ。
そっちの対策も練らないと。
「ポルン。質問なんだけど、当然このミッションをクリアしたら部屋に戻るよね。その場所ではスキルは発動できるの?」
『普通はできねーけど、亀山が取引しちまったからな、これからずっと街ではスキルを使えるぞ。凍夜が使ったアイテムは一時的なものだからもう効果はないな』
それってつまりは、戻ったら万全の状態のシャークと戦う可能性が高いってことか。
「今この場所で石盤を使ってしまえばいいんじゃないの? 両方そろってるじゃない」
『ダメだ。ミッション中は使えない』
何か良い案はないのか……
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