ポルン

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「シャークの弱点とかは?」 短い腕の先にある蹄を額に当てたトナカイはため息をつく。 『蓮、お前な、そんなもんあると思うか?』 くっ、腹立つ口調だ。 『天下五剣の"数珠丸(じゅずまる)"だけじゃなく、七色(なないろ)の剣、虹の傘っていう激レア武器も持ってるぜ』 装備も半端(はんぱ)ないのか。 重苦しい雰囲気が流れるが、気を利(き)かした哲二がみんなに質問した。 「みんな、体力とスキルPはどう? 特に柚葉さんが一番消費してるはずだから」 「大丈夫。満タンみたい!」 柚葉が全快であれば他の全員も平気だろう。 再びポルンと対策を練る。 戦闘時の作戦を入念に行うも良策、奇策など出るはずもなかった。 時間だけが過ぎていく。 『そろそろ時間だっ! 最強の音声案内の俺がついてんだ。お前ら腹くくれやっ! 困難は乗り越える為にあるんだぜっ!』 「何が最強だ。戦えないだろ」 「気持ち悪いわ……」 「ポルンちゃん、ありがとう」 「僕も説得してみるよ」 それぞれが自由に発言している。 「オレは、オマエが音声案内でよかったよ。ありがとな」 背中を向けたトナカイは震えている。 『――て、転送が始まるぞ』 コイツはエロくて、打たれ弱くて、泣き虫だけど……熱い奴だよな。 結局、穴だらけの作戦しかないまま転送が開始されてしまう。 ――やるしかないのか……
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