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強い風が吹くこの場所は山の上?
辺りの景色には遮るものなど何もない。どこまでも続く空と雲。野球場程の広さに平たくならされた山の上だ。
恐らく下を覗けばどこも断崖絶壁だろう。
やや隅のほうには赤龍が横たわっている。
『……ガレアトーム(赤龍)の寝床です。ここなら逃げられませんね』
「こんな所連れてきやがって、俺達が勝ったらどうやって帰るんだ!」
最強の男に文句とか……いつも思うが修司は怖くないのか?
『……その可能性はありませんから、考えてなかったです。そうですね、その時はガレアトームを差し上げます』
修司とシャークの会話中に柚葉は動いていた。
【ブラック・レイン】発動。
上空に無数の短剣が出現。竜巻の様に螺旋を描き一点へ降り注ぐ。
もちろんシャークの頭上へ。
【エア・ステップ】発動。
【トリプル・ナイフ】発動。
【命懸け】発動。
【姫】発動。
オレ達は次々とスキルを発動し、襲いかかった。
開いた傘を差し、黒い雨を受け止めたシャーク。短剣は刺さるどころか全て弾かれた。
上空から斬りかかる修司。
三本のナイフは一直線に向かう。
右からは美咲のグラネル。
左からオレは鬼丸を突き刺した。
【オーバードライブ】発動。
【浮足(うきあし)】発動。
【師走】発動。
オレンジ色の残像だけを残し、今いた場所にシャークはいなかった。
――雷斗さんと同じスキルも使えるのかよ!
背後から低い声が聞こえる。
『……不意打ち。基本ですね。私もそれなりに楽しみますか……』
右手に持つ傘を背中にしまいスキルを発動させていた。
【ブラック・ボックス】発動。
黒いオーラが集まり空間が歪み始める。
あれは、確か毒の攻撃を美咲が跳ね返した時に吸い込むスキル。
なぜ、今?
その空間に右手を差し込んだ。
『……七色の剣。知ってます? 面白いですよ』
黒い空間から様々な輝きを放つ剣(つるぎ)を取り出した。
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