エピローグ(滝澤 柚葉)

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私の意思が伝わったのか、ガルちゃんは膝を伸ばし起き上がった。 予備動作もなく、翼を広げたかと思ったら一気に空へ。 ――うわぁ、気持ちいい! 心地よい風が頬に当たる。 遠くに見えるのは、最初に訪れたカルミナ村。 北東には高い丘が伺えた。 『社長! あれは鷹山様と西条様では?』 口元を両手で覆うようにしたムッキーは叫んだ。 『おーい!』 本当だ。ミサリンを先頭に蓮ちんは何やら重そうな角材を背中にしょって登っている。 「ダメだよ、ムッキー。二人にしてあげて」 目の前にはどこまでも続く青空、壮大な大地。 この間の殺伐としたイベントが嘘のようだった。  ――また明日から      ミッションが始まる 私はもう後ろには下がらない。 お父さんに会ったら、成長した姿をみせて驚かせるんだ。 みんなとなら怖くない。 ――次の一歩を踏み出せる。 『社長! この反対向きの鱗(うろこ)はなんですか?』 もう、だから社長は……!? 「ムッキーそれ触っちゃダメ!」 ≪……逆さに生えている鱗は"逆鱗(げきりん)"です。絶対に触ってはいけませんよ≫ シャーちゃん、もう遅かった。ムッキーが触っているよ。 逆鱗に触れると何が起きるの? 突然、ガクンと体が沈みこむ。咆哮をあげながらガルちゃんは急降下した。 「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」 きりもみ回転をしながら真っ逆さまに地上へ到達する。 激突寸前で、回避し再び急上昇。 「とまってぇぇぇぇぇぇ!!」 下降と上昇、それに回転が加わった不規則な動きでガルちゃんは動き出す。 『しゃちょぉぉぉぉぉぉぉ!!』 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 ――なんでいつも    私ばっかりこうなのよっ!!        滝澤 柚葉 Fin.
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