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夕暮れの校庭。
目に映るのは校舎と鉄棒。
それ以外は見当たらない殺風景な校庭。
校舎の外の景色は地平線が伺えるほど果てしない大地が続く。
仮想空間か……
『わぁ! 久しぶりに人がきた』
無警戒だった背後から突然声をかけられ、鞘に手をかける。
――少女?
レモン色のワンピース姿のあどけない少女の首にはカメラが掛けられている。
手にしているのは見たことが無い形をした細長い剣。
いつの間にか少女の後ろには巨大な扉らしき物が確認できる。
敵意はなさそうだな。
「えっと・・・・・・君もプレイヤーなのかな?」
額に汗が滲(にじ)んでいる少女は、肩で息をするくらい疲弊(ひへい)していた。
『そうだよ。私の名前はキヨポ。・・・・・・皆がそう呼ぶから』
――優しい子だな。
来たばかりのオレに気を使わせまいと、話す事もままならい程の疲れを笑顔で隠そうとしている。
「オレの名前は蓮。キヨポもミッション中?」
少し口にするのが恥ずかしいニックネームだったが、少女の優しさに応え呼ぶことにした。
『あの扉を破壊しなきゃ、このミッションからは出られなの。
でも、大丈夫。私にはこの愛刀シルペンがあるからさ。
あっ、ごめんなさい。
時間がないから私は行くね』
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