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時間がない?
扉の前に立った少女は、剣を振りかざし斬りかかった。
打ち込んだ衝撃から、見た目よりも破壊力がある剣だと分かる。
しかし、高く、厚いその扉はびくともしない。
「オレも手伝おうか?」
『駄目。これは私が一人で乗り越えなきゃいけないの。ずっと……ずっと、頑張ってきたんだ』
彼女の顔つきが少女とは思えない程、真剣なものに変わる。
よく扉を観察すると無数の刀傷が刻まれていた。
凄い数の傷だぞ。
一体いつからこの扉を・・・・・・
唇を噛みしめ、真っ直ぐな眼差しで扉を見据えた少女は再び剣を構えた。
打ち込むには距離がある。
振り下ろした剣の先から細い長いカーボン色の棒が飛び出す。
スキルじゃない? 特殊な剣か。
武器の中には特殊な効果を発動するものもある。
もちろんレア度も高く簡単には手に入らない。
この鬼丸もそうだ。
少女は黒色の棒を追いかけるように扉に接近し、突きを繰り出す。
おっ!?
さっきとは違う衝撃音。微かではあるが扉にヒビが確認できた。
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