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数匹のスライムが二人に襲いかかった。アーツは横に転がり回避し、結月は手にする剣で斬りつけている。
斬りつけるたびにジュッ、ジュッという音をたてながらスライムは溶けていく。
『随分とレアな武器を持っているじゃねーか。まぁ、それがいつまでもつかな』
GMが作り出しているドームに向け、様々な攻撃を開始したアーツ。
その攻撃を邪魔しようとするスライムを薙ぎ払う結月。
アメーバは何匹倒しても召喚され、辺り一面赤い海になっている。
息の合ったコンビネーションだけれど、まずいぞ。
男を囲う防御壁は一向に破壊できる気配はない。頼みのグラネルもその輝きが小さくなってきている。
――想いの力が減っているのか?
余裕の表情でGMは杖を掲げた。
『この運営側特製アイテムから作られるドームは、絶対に破壊できねーよ』
『――ドーム(道理)で壊れないと思いましたよ』
ニヤリと笑ったアーツは攻撃の手を休めない。
寒すぎて自分で笑ってしまったのか……。どう考えてもまずい状況だろ。
結月はそれを理解している。
「アーツ、早く決めないと……」
グラネルの刀身はいつもの半分の長さになっていた。
弓を構えた男は動揺することなく、結月に近づく。
『私が貴女を守りますよ』
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