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スライムを撃ち続けているアーツは、なぜか嬉しそうに微笑んでいた。
あれ? アーツが好きなのは結月じゃないのか。何だか訳が分からなくなってきたぞ。
……オレにはまだ色恋沙汰(いろこいざた)は早いのか。
気がつくと、結月の回りにいたスライムは全て遠ざけられていた。
『危機を脱したようですよ。GMさん。どうしますか?』
『少し位思い通りになったからといっていい気になるなよ。絶望的な事を教えてやろうか? 扉は俺が死なない限り開かねーよ』
GM専用のアイテム。破壊不能なドーム。やり方が汚すぎる。影山はこういった事をしないんじゃないのか?
まさか、こいつが単独で……。
「そんなの試してみないとわからないじゃないっ!」
スライムの群れはまだ戻っていない。隙をついて光り輝く神剣を携えた結月は扉に向かって走り出した。
【トリプル・アロー】発動。
【ホーミング】発動。
後方よりアーツの援護射撃が扉へと向かう。
【ホワイト・ブレイク】発動。
白いオーラが右腕から先を包み込み、短かった刃身が元の長さへと伸びていく。
正確に一点を狙う矢。その部分にグラネルを振り下ろした。
ガシャーンという金属音。
二人の合わせ技で扉は所々破壊されたが、GMの憎たらしい顔は変わらなかった。
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