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転送された時と同じようなスピードで暗闇を進む感覚。
ゆっくりと瞼(まぶた)を開いた。
『体調はどうですか? 無理しないで下さいよ』
「大丈夫よ。アーツはいつも優しいのね」
二人の会話が聞こえる。
『騎士道精神です』
「それ、知ってる。最後に死ぬんでしょ?」
『そ、それは武士道です……』
これは三チームに別れた直後だろう。後方にある扉の先には入口付近が確認できる。
少しだけ時が遡(さかのぼ)ったのか。
「うふ、知ってるわよ」
悪戯っぽく笑う結月を先頭にして先に進む二人。背中を眺めているアーツは優しい微笑みを浮かべていた。
進んでいくとすぐに広場が出現。先程の雷斗さん達が入った部屋と同じような広さではあるが支柱はない。
奥には扉も伺えた。
ガシャンという音がした方向に目を向けると、今入ってきた扉がしまっている。
『気をつけましょう。何かありそうです』
辺りを警戒しながら二人は奥の扉に近づくと音声案内が流れ始めた。
≪プレイヤー二名、"入力"の間へ到着確認。入力盤に七桁の数字を入力して下さい≫
扉の横には電卓の様な機械が設置されていた。電子ロックのようなものなのか?
『参りましたね。何も情報がないです』
「うーん。そういえば昔何かのミッションで、扉を開くには"水"が必要だっていう情報を得たわ。でも数字じゃないし……」
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