最終の間

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新たな矢が今度はGMに向け飛んでいく。 振り上げたレイピアで、メディがそれを打ち落とした隙に、結月は転がり窮地(きゅうち)を脱した。 すぐさま後ろを確認すると、扉の前でアーツが弓を構えている。 その全身には緑色のオーラが。 もう、呪いは発動してしまったんだ。 殺気を感じたのか、レイピアの攻撃を収め下がったメディ。 誰に向けたとも分からない殺気を放つアーツはスキルを発動した。 【天長地久】発動。 (てんちょうちきゅう) 斜め上方に向け弓を構えたアーツが矢を放つ。 真っ直ぐ飛んでいく矢が勢いを失いかけた時、一気に爆発。放射線状に拡散した無数の矢は雨の様に降り注いだ。 「凍夜くん、アーツは罠にかかっているからっ!」 【ホワイト・エリア】発動。 凍夜のもとへ転がった結月は、左手を上にかざし白いドームを展開。 落ちてくる光の矢は、柚葉の【ブラック・レイン】を思い起こさせる。 GMの二人は避けようともせず、その場から動かない。回避方法は違えどもまったくダメージは受けていなかった。 矢を刀で撃ち落としながら、雷斗さんは叫んだ。 「アーツ、危ねーだろっ!」 「違うの雷斗、アーツは、私達が誰だか分からないの。狂戦士の罠よっ!」 無差別に攻撃を開始したアーツ。 雷斗さんが回避した矢にデスソルジャーの頭部が打ち抜かれ崩れ落ちた。 ――あれっ? 結月は罠が狂戦士だと知っていたぞ。なんでだ? "入力"の間から最後の間に移動する時に検索したのだろうか。 到着した時は、必死に走っていたような感じだったけれど……。 妙な胸騒ぎがする。
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